私が『トレード思考』というものの存在を
知らなかったころ、負け続けるための
訓練をしていた。
出口のない迷路を死ぬ思いをしながら
歩き続ける、そんな経験だ。
「今日は利益が乗ったらガマンして
長く保有しておこう。せめて40pipsは
利益を乗せたいからな」
チキン利食いを絶対に克服するんだ!
トレード前に決心する。
エントリーチャンス到来!
うまい具合に十数pipsの利益が乗った。
「ここからが勝負だ!
利益を最大限に伸ばすために
目標到達までガマンするぞ!」
利益が20pipsになり、早く利食いたい
衝動にかられる。
「まだ、まだだ。まだ粘るんだ!
目標の40pipsまで持ちこたえろ!」
含み益が30pipsになった。
「もうちょっとだ。もうちょっとガマンすれば
目標の40pipsに到達する。」
一瞬、含み益が45pipsになる。
「やった!到達した!しかも目標の
40pipsを越えている!」
この瞬間、私の欲望がむき出しになった。
「もう少し粘れば、50pipsいくんじゃね?」
目標の40pipsで決済せずに
さらに保有することを決心した。
「一応、プラマイゼロに逆指値を置いておくか。
もし反転してしまってもマイナスにはならない」
もしかするととんでもない利益が
乗るかもしれないな。
妄想は膨らみ、結局その日は決済せず
放置して寝ることにした。
「明日が楽しみだ。ぐひひ」
そして翌日。
目を覚ますと真っ先にチャートチェックする。
「どれだけ利益が育っただろう。ワクワク」
少しドキドキしながら昨日のポジションを確認する。
「+137pips」
最初の目標40pipsより3倍以上の利益だ。
「100pips越えの利益だ。やった!!
やっぱり放置して正解だったな。」
自分の判断に自信を持った。
「よし、ここで決済しておこう」
利益を自分のものにし、私は
満足できると思った。
しかし、こんな考えが頭をよぎる。
「それにしても、もっと大きく動けばよかったのに・・・」
100pips以上の利益を手にしたが
強欲な私はすこし不満を感じていた。
損切よりは全然いい。でも、もっと満足できる
トレードになったらよかったのに、と思った。